2012年10月21日日曜日

核融合科学研究所へ行ってきた

昨日、岐阜県土岐市にある核融合科学研究所へ行きました。
一般公開のオープンキャンパスが開催されました。

パネル展示や施設内の見学などもおこなわれていたようです。
私は講演のみを聞いてきました。


核融合と聞くと、核 → 原子力 → 放射能連想する人もいるかもしれませんが、
仮にも核融合の施設で事故が発生したとしても、昨年発生した、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染のような心配はまったくないと思われます。

---

エネルギーの話から始めますと、日本はエネルギーを発生させる燃料を、96%くらい輸入に依存している問題があります。この燃料については、日本に限った問題ではありません

現在のペースで燃料を使い続ければ、今後50~100年の間に枯渇する恐れがあります。
大変貴重なものになり価格が高騰したり、そもそもなくなってしまっては、エネルギーを発生させることができなくなるのです。
原子力発電で使用しているウランでさえ、限りがあるのです。

そこで、火力発電や原子力発電にかわる新たなエネルギー源が必要になります。
現在注目を浴びているのが自然エネルギーである、太陽光発電風力発電などです。

自然エネルギーには多くの欠点があります。
天候に左右されやすい、電気の質が悪い、発電効率が悪いなどです。
今後技術研究が進んでも、自然エネルギーの比率は多くても、全体の3割程度にまでなればよくできたほうで、基幹エネルギーにはなり得ない、との見方をされています。

原子力発電も放射能の危険性が指摘されています。

そこで、さらに新しいエネルギー源を開発する必要があるのです。
そこで核融合の研究がおこなわれています。

---

現実に存在している物質というのは、固体、液体、気体、という3つの状態のいずれかになっています。
水で例えると、氷は固体、水は液体、水蒸気が気体です。(水蒸気は目に見えません。お湯を沸かしたときに白く見えるのは、水が細かい粒の状態になっている湯気です。これは水なのです。)

この3つの状態は、物質に熱を加えることで変化します。
(低温) 固体 → 液体 → 気体 (高温) という関係になります。
では、気体をさらに加熱するとどうなるでしょうか?実は「プラズマ」という状態に変化します。
水素で例えるとこうなります。

H2 → H + H → 2[(陽子と中性子) + (電子)]

原子からマイナスの電荷を帯びた電子が分離し、プラスの電荷を帯びた陽子と中性子がくっついた状態になります。
ここで、この陽子と中性子が一体になったものがぶつかり合うことで「核融合」が発生します。その際に大きなエネルギーを得ることができるのです。

----

ところが、同じプラスの電荷を帯びているので、通常では反発しあいます。磁石のN極同士、S極同士がくっつかないのと同じような状況です。
では、核融合はどうすれば起こせるのでしょうか。

それはプラズマの密度を高めることで、プラズマがぶつかり合う確率を高めるのです。
通常は反発しあいますが、高密度になればぶつかり合う確率が高くなるのです。

プラズマの密度を高めるには、磁界を作ります。磁界を作るとプラズマをその中に閉じ込めておくことが可能なのだそうです。
プラズマを閉じ込めておく磁界を作るには、強力な磁石が必要です。高密度にするために、とてもとても強い磁石が必要です。
そのために「超伝導」の技術が使われます。

超伝導については、詳しいことはわかりませんので割愛します。

----

プラズマによる核融合が起きたときにエネルギーを得ることができます。その際に、中性子が分離するそうです。この中性子に放射能があります。
しかしながた、中性子をうまく管理することで、放射能が外部へ漏れることを防ぐことができます。
そのため、核分裂を利用した原子力発電における、放射性物質による放射能汚染などの危険性はないのです。

核融合発電の実用化(商用化)のめどは2050年代だそうです。

0 件のコメント:

コメントを投稿